■手描きで背景を仕上げる場合■ |
手書きの制作では一枚の作画にそこそこの時間を要しますが、 あくまで漫画の1コマ(1シーン)に過ぎないので読者の目に触れるのは数秒です。 アニメと違い、基本的には一度使用した背景の使い回しは出来ない為に、 背景が必要なコマの数だけ制作時間を費やしてしまうことになります。 プロの漫画家になれば背景をアシスタントに任せて描いてもらう事も出来ますが アマチュア(漫画家を目指してる状態)では自身で全ての工程を こなしていかなければなりません。 背景の内容にもよりますが、一コマの背景描写には3時間〜8時間程の 制作時間がかかるにも関わらず、 読んでもらうときには一瞬で読み飛ばされてしまうことがほとんどでしょう。 それでも、背景が無ければ情景描写の表現がない為にストーリーも 伝わりにくくなってしまう上に 作品自体が殺風景に見えて手を抜いているようにも見えてしまいます。 作風によっては背景を必要としない漫画も存在しますが、 基本的には背景のない漫画は少ないでしょう。 人目こそひかないものの、なくてはならない影の功労者のような存在と言えます。 |
■モデリングで背景を仕上げる場合■ |
2次元の描写ではコマ内に見える部分だけを描きますが、 3次元の場合はコマ内に表現したい背景の全体像を作成していきます。 その為、手書きによる作画よりも制作時間はかかりますが、 モデリング完成後はアングルを変えたりアップやロング、カメラワークの工夫などで 様々な見せ方が可能になるためその後何度も使い回しが利きます。 1つを製作するのに時間がかかったとしても、 後々の利用性を考えれば 無駄がないといえます。 手描きのように雲形定規、自在定規、方眼定規、テンプレートなどの 用具を駆使しなくともソフトの機能のみでより正確な背景制作が可能です。 基本舞台設定が決まっているなら、舞台に必要な物を最初に作成し、 キャラクターを描いた後にその人物パースに合わせて背景との合成が簡単に行えます。 背景を線画に処理した後は、空気感を出す為に効果やトーン処理などを 加えれば より一層の質感表現が出来ます。 3Dソフトをオールマイティーに使いこなせるようになるには、(個人差もありますが) 3年以上はかかると言われています。 (正直な話、ゲーム会社に3Dの技術を教えに来るような人でさえ 用途外の使用の把握までは出来ていないようです) しかし、その用途を漫画背景制作のみに限定すれば(出来の良し悪しはともかく) 1年未満で技術を習得出来るはずです。 ※出来に関しては本人の努力が物を言うので、絶対的なことは言えませんが モデリングで漫画背景を制作できるようになれば、 まず手書きで背景を描こうなどとは 考えなくなります。 これほど正確に使いまわしの利く物が作れたら、手書き制作の時間の浪費が どれほど勿体なかったかと思えるからです。 |
自分で撮った写真からの制作 |
上の背景の一部分をアップにした状態 |
■ 漫画用背景にするまでの流れ ■ |
レンダリング前の処理 |
モデリング完成後、
原稿用紙のコマ内に配置したい背景シーンのアングルを決め |
レンダリング後の処理 |
背景によっては簡単な線の修正が必要な場合もある
ベクターでラインだけ出力する為ベタやトーン、効果などの作業はあとから追加 |
色んなカメラアングルから見た自転車 |